フィギュアスケート・エッジの秘密(2)

バンクーバー・オリンピックまで後2日、(2)をまとめました。

ちょっとマニアックすぎるかもしれません、今回はブレードでなくエッジの話です。初心者と選手ではエッジの使い方が違います。どんな所が違うのでしょう?

エッジの呼び方:
4個のエッジ
エッジは片足に付き2個ついているので、左右合わせて4個、RO(RightOut=右外),RI,LO,LIとなります。それぞれ前進,後進があるので、カーブとしては8種類。アウト、イン両方のエッジとも氷についている状態はフラットといいます。

アウト・イン・フラット:
アウト・イン・フラット
選手が滑る際には、ほとんどフラットの状態にはならず、アウトかインに乗っています。一方、初心者の場合はほとんどフラットの状態で、大きな違いです。フラットの状態で曲がろうとすると、抵抗が大きくて曲がりにくいし、すぐにスピードが落ちてしまいます。

前後方向の位置:
前後方向の位置
次に前後方向の位置です。選手は前に進む時はエッジの後部、後ろに進む時はエッジの前部に乗ります。これに対して初心者は歩く時と同じように後部から入り前部に移動したり、ふらふらして一定しなかったりします。

スパイラル:
選手がスパイラルで長いカーブを描いて滑ることができるのは、エッジが氷に接する位置をピタッと最適な箇所に固定できるからなんです。もちろんフラットでなく、アウトもしくはインに乗っています。

ターン:
ひとけりで長く安定して滑れるというのがスケートの基本ですが、それ以外に必要な滑りの技術として、ステップがあります。そのステップの中に組み込まれ、またジャンプの準備動作の中でも良くつかわれるのが、片足で方向転換をするターンです。
スリー・ターン
スリー・ターン
もっとも基本的なターン、滑った跡(以後トレース)が3の字のようになるので、こう呼びます。RFO(右前進アウトエッジ)のカーブからスリー・ターンをすると、ターンの後はRBI(右更新インエッジ)のカーブになります。同様に8種類のカーブ、それぞれでスリー・ターンができます。

ブラケット・ターン、カウンター・ターン、ロッカー・ターン
その他のターン
他に3種類のターンがあります。スリー・ターンはカーブの方向と同じ方向に身体を回転させて方向転換するのに対し、ブラケット・ターンはカーブの方向と逆に身体を回転させて方向転換します。ターンの形が }のようなのでブラケット(括弧)・ターンといいます。前半がブラケット・ターンで後半がスリー・ターンなのがカウンター・ターン、逆に前半がスリー・ターンで後半がブラケット・ターンなのがロッカー・ターン。と説明するのは簡単だし、トレースは図のとおりなのですが、どんな動作でこんな事ができるのか不思議でしょう。はじめて観たら、目の前でみてもそんな事出来る訳ない!と思うかもしれません。実際に技術的に難しい動作です。

ジャンプの時のターン:
ジャンプとターン
ジャンプ前の動作はターンだけでなく、ブレードの踏み変えから入ることも多くあります。ここでは代表的な例を紹介しておきましょう。トゥ・ループ・ジャンプは右利きであれば、RFIのスリー・ターンをしてトゥ・ピックをついてジャンプするのが一般的です。またサルコウ・ジャンプで右利きであれば、LFOのスリー・ターンをしてジャンプするのが一般的です。ステップの中でどのターンをしているのかを判断するのは、とても難しいですが、ジャンプだと慣れてくれば簡単ではないですが判ってくるでしょう。

ターンでのエッジの使い分け:
ターンについて、もっと細かくみてみましょう。
スリー・ターンの先端
これはRFOのスリー・ターンの先端の部分を拡大したものです。(a)、(b)、(c)の2種類のうち、どれが良いターンか判りますか。(a)はターンの先端に入る前に、エッジがRFOからRFIに変わっていて、先端でRBIに切り替わっています。(b)はRFOのまま先端に入り、先端でRBIに切り替わっています。(c)は先端までRFIで入り、RBOでターンから抜け、その後でRBIに変わっています。良いターンなのは(b)で、エッジの幅だけ先端部分に隙間が明きます。ほんの数センチの違いですが、(a)や(c)のようになるのは体重移動が悪いためでターンの滑らかさが失われます。ターンの熟達度が低いと、こういう部分が大きくなります。ターンのトレースが(b)のようになっていなかったら、それは身体のコントロールがうまく出来てない証拠といえます。

コンパルソリー・フィギュア:
今はなくなってしまいましたが、決められた図形を滑り、図形の正確さやターンの正確さなどを競ったのがコンパルソリー・フィギュアです。この競技では、ジャッジに囲まれて図形を滑り、滑り終わると、ジャッジがターンの先端を刷毛で履いて正しいターンかどうかを判定したのです。国際競技からは1990年に廃止されました。伊藤みどりは途中までコンパルソリーのある時代でした。更に昔々にはスペシャル・フィギュアといい創意工夫した図形を滑って競う時代もあったという話です。さすがに、そこまではみたことありません。中には、日本スケート連盟のマークの中のSを3個組み合わせた図形を片足で滑ってしまうインストラクターもいます。
コンパルソリー・フィギュア一覧表
コンパルソリー・フィギュア一覧表(PDF版)
図形は2個あるいは3個の円からなり、この円の直径も決まっています。ループ図形は身長の1倍、他の図形は身長の3倍です。
      
日本スケート連盟のマーク

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