ロゲイン地図のつくり方(付録)電子地形図、電子国土、数値地図

全国の1/25000の電子地形図が入手可能になったとの発表が国土地理院からありました。この地図は従来から販売されている「数値地図」と同様に(財)地図センターから入手できます。

1.電子地形図と数値地図は並行販売

「電子地形図」が出来たので、従来の「数値地図」がなくなるかというと、現時点ではそういう事はなく、以下の(財)地図センターのページの左メニューにも両方ともあり、並行して販売されます。内容がどう違うかは、以下のページに大凡の説明が書いてありますが、表示内容については、この表では単に図式の名前が違うことしか判らないので、後に調べた結果を紹介します。
地図の違い説明

2.電子地形図は表示内容を変更できる

従来ロゲイン地図の元に使っていた「数値地図」は、紙で販売されている1/25000の地形図と1枚1枚が対応していましたが、今回の「電子地形図」は大きさを選んで欲しい場所のデータをダウンロードできるものです。また、表示内容を一部指定する事もできます。下がその指定画面です。
表示内容指定画面

  • データ形式は、jpeg,pdf,tiffの3種類。jpegは基本的にはデータサイズを小さくできますが、かわりに画質が低下しますので、選ばないほうが良いでしょう。
  • サイズはA4A0まで指定できます。このサイズは、地図部分の大きさではなく、地図の外の枠部分も含んだ大きさなので、要注意です。
  • jpegとtiffで試しましたが、両方ともファイル中にDPI(dot per inch)情報がセットされていないので要注意です。なんらかのソフト(irfanview等)でDPIを設定するか、画像全体のサイズを購入時に指定したサイズに合わせる必要があります。
  • 数値地図はレイヤーに分けられているのに対し、電子地形図は分けられていないというのが、加工する上では非常に大きな違いです。
  • 磁北線記入機能が欲しいですね。

3.電子国土、電子地形図、数値地図の表示内容の違い

先日書いた記事「ロゲイン地図のつくり方(12) TrekkingMapEditorの代替方法」で、国土地理院が公開している地図サイトの「電子国土」を印刷する方法を取り上げました。この方法で印刷した地図と、電子地形図、数値地図を比較してみます。この比較において、電子地形図の表示内容は標準のままにしたものを使います。また、電子国土については、画面表示を前提につくられているため、1/25000に近い1/18000を使ったのでは印刷では非常に粗くなってしまうので1/4500の図を1/25000にして印刷したものです。

以下はいずれも茅ヶ崎周辺の地図をA4サイズで印刷したものの縮小イメージです。

電子国土A4縮小
電子国土
電子地形図A4縮小
電子地形図
数値地図A4縮小
数値地図

全体図からも違いのわかるところがありますが、順次部分地図で比べてみます。凡例へのリンクはこちら(電子地形図数値地図)にありますが、フォーマットが同じでないのでとても較べづらい。

電子国土1
電子国土
電子地形図1
電子地形図
数値地図1
数値地図
  • 土堤(茶):電子国土も電子地形図も表示されていません。このサンプルにはないですが、塀の表示もなくなったようです。
  • 市区町村境界:数値地図と電子地形図は黒の二点鎖線、電子国土では黄土の半透明線
  • 送電線:数値地図と電子地形図では「日東加工」の上に表示がありますが、電子国土ではなし
  • 工場と発電所・変電所:数値地図は両方あり、電子地形図は発電所・変電所のみ、電子国土ではなし
  • 畑の中の道:数値地図と電子地形図では実線1本、電子国土では実線2本
  • 数値地図には実線と破線の工事中道路がありますが、電子国土と電子地形図では少し変な空白があるだけ。実は先日開通したばかりの圏央道です。書き換え作業中にはこういう事が起きるんでしょうかね。
電子国土2
電子国土
電子地形図2
電子地形図
数値地図2
数値地図
  • 高速道路:電子国土では紫、電子地形図では緑、数値地図では国道と同じ黄色
  • 地名:電子国土と電子地形図は小さい、電子地形図では町名レベルは太字でない。数値地図では背景が白抜きになっているので読みやすい反面地図が隠れる。
  • 樹木に囲まれた居住地:現地で見分けるのが難しいと評判?ですが、数値地図では緑、電子地形図ではグレー、電子国土ではなし。しばらく前は電子国土では薄い緑でした。
電子国土3
電子国土
電子地形図3
電子地形図
数値地図3
数値地図
  • 建物:数値地図では密集地の表示だったところも、電子国土と電子地形図では個別に表示、またより細かく個別の建物を表示
  • 道:数値地図と電子地形図は基本的に同じレベルの表示だが、電子国土はより細かい道も表示(1/4500のため)
  • 道の表示上の幅:電子国土は狭い、そのため市街地では細すぎる(1/4500のため)
  • 鉄道の線路:電子国土は細かい(どういう基準で違うのか不明)

4.その他

電子地形図凡例
   電子地形図の凡例の一部

電子地形図では堅ろう建物とか高層建物(従来クロスハッチは中高層建物でした)という表示があります。高層はともかく堅ろうは外からでは区別できないでしょうね。また、凡例中に土堤の表示があるのはミスでしょうか。

自分は有料化する前のTrekkingMapEditorを持っていますが、このソフトが使用する地図は、電子国土の旧い1/25000の地図です。この地図は当面は参照できますが、内容を更新しないと決まっているので、時間がたつと現実との差が大きくなっていきます。

一方、カシミール3Dや有料のTrekkingMapEditorで現在の電子国土を使って印刷した地図は、市街地では建物や細い道が混みいってしまうため見難く使いずらいでしょう。一方、山間部では地図に表示する内容が少ないので、この問題は気にならないでしょう。

森を走ろう!のロゲインマップは数値地図を継続:一般にフォトロゲイン系では数値地図をそのまま使っている事が多いですが、森を走ろう!のロゲインでは、そのままの地図(色は変えています)を「一般向け」として、地名表示を抜いた地図を「中級向け」、更に学校・交番・神社などの点状特徴物の記号も抜いた地図を「上級向け」として提供してきました。「上級向け」はさすがに使う人が少ないですが、「中級向け」のニーズは結構高くて1/3強程度あります。で、「中級向け」や「上級向け」は電子地形図からはレイヤー分けされていないので作れません。という事で、現時点では、数値地図継続です。なお、「一般向け」でも地名などの背景の白抜きは前回よりなくしています。これもレイヤー付きの地図ならではの加工です。

その他の凡例の変更:上で説明した以外の凡例の変わった点を探してみました。遂にというか「桑畑」がなくなってます。他になくなったものとしては「採石地」「その他の樹木畑」。二点鎖線だった郡市界と一点鎖線だった町村界が、二点鎖線の市区町村界に統合。錨に二本横線だった重要港と一本横線だった地方港が、一本横線の単なる港湾に統合。横線なしの漁港は変更なし。

(rogaine_mm)

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