森林を学ぼう!!1

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このページには元の文には入っている図が抜けていますので、わかりにくいと
思います。しばらくお待ちください。
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普段何気なく走っている森林には
私達の生活に欠かせない、いろんな機能があるんです
そこで
いきなりですが、オリエンテーリングの競技場である“森林”について、皆さんにもっともっと詳しく知って貰おうと思い、『学連だより』におじゃまさせて頂きました。時間があったら是非読んでみて下さい!! よろしくお願いします!!
それでは早速“森林の機能”について見てみましょう。
(1).「森は酸素・木材・きのこetcの生産の場!!」
みなさんの多くがご存じの通り、森林は、二酸化炭素と水と太陽エネルギーを利用し、人類にとって欠かすことの出来ない“酸素”を供給してくれています。
また、それと同時に有機物の固定により、日本文化には欠かすことの出来ない“木材”を生産し、“きのこ”、“山菜”といった林産物をも生産してくれます。その他、樹液も“輪島塗”や“松ヤニ”等としても利用され、木材はアウトドアでは欠かせない“薪”“炭”等としても利用されています。そして、落葉落枝は肥料として非常に役立っています。
(2).「森は“緑のダム”!!」
コンクリートで覆われた都市では、雨が降るとアッという間に河川は水で溢れかえります。しかし、特に雨期など上流の山間部では非常に大量の雨量が降っている筈なのに、下流域の都市部では洪水は起こりません。また、乾期にも川の流れは滅多に止まりません。
これは森林の持つ機能が非常に役立っているのです。森の土壌の“すきま(孔隙)”は、スポンジのように雨水を地中に蓄え、徐々に川へ送り出し、雨水の流出量を調整し、洪水の防止や渇水の緩和に役立っています。このような機能があるが故に森林は「緑のダム」といわれ、水の安定供給により国民の生活を守っているのです。
また、近年“○○のおいしい水”だとか“☆☆の天然水”などの飲料がよく見られます。これは、土壌の“すきま”が水を濾過したり、化学物質を吸い取って水を浄化している為、おいしい水が得られるのです。しかも、森林が生み出す水は汚れがないばかりでなく、岩石の間を通ることによりミネラルを含み、国民の健康に役立っているのです。
(3).「森は自然災害を食い止める!!」
昨年起こった中国の長江の凄まじい大洪水。これは、上流域での過剰な森林伐採が原因であると言われています。また、近年各地で起こっている土砂崩れは、森林の機能の低下も一因であるのです。
もちろん森林は、(2).で説明したとおり雨水流出の調整機能があります。しかし、それだけでは土砂災害は食い止められません。森林は、地中の木の根が発達し、これが土砂をしっかり保持することによって、その崩壊をくい止めてくれます。また、同時に、地表が下草等で覆われることによって、土壌の流出を防止する機能が発揮されてるのです。
しかし、これも適切に森林が管理されて、健全な状態にあってこその事です。皆さんがご存じのように山が荒廃していくと、森林の持つ機能もどんどん低下してしまうのです。日本の栃木県那須高原や茨城県那珂川で起きた洪水も、ゴルフ場の乱立もさることながら、この森林荒廃の影響が少なからずあるのです。
つまり、森林が荒廃して(伐採されて)大雨が降ると、雨水流出が調整機能されず一気に河川に大量の雨水が流れ込むだけでなく、更に土砂までもが多量に流出して、下流域の河川の河床に土砂が一気に堆積していってしまいます。そうすると、河川の大氾濫が発生して大洪水が発生してしまう、と言う訳なのです。
(4).「森は自然環境から人間を守ってくれる!!」
都市で見られる街路樹や平地で見られる防風林、東北地方に見られる防雪林、そして海岸沿いの砂防林など、森林は、風害や潮害を防いだり、はたまた騒音や気候を緩和するなど、私達の生活環境を、自然の厳しさなどから守ってくれるのです。
特に皆さんも真夏には都市での木陰が、非常に涼しく、そして心地よく感じることと思います。一般に木陰は外気と比べて5℃近く涼しい、と言われています。クーラーをつける時、人間の身体にとっての適温は、外気との温度差を5℃まで、と言われますから、木陰は人間の身体にとって非常に適しており、そしてありがたいものなのですね。もちろん、その他にも亜硫酸ガスなどの毒ガスを吸い込んだり、ほこりや煤煙など濾過するなどの機能もあるんですよ。
また、関東大震災時には都市公園の森林が火災の万延を食い止めたものの、関西大震災では都市公園はほとんど無かったため、消火は消防活動に頼るしかなかったと言われます。その様にして、都市公園の見直しも検討されるなどしています。
この様に、何気なく過ごしている生活のなかにも、様々な“木”の役割があるんですよ。
(5).「森は人間形成の場!!」
今日の流行の“アウトドア”活動、そして何よりオリエンテーリングをする上で欠かすことの出来ない“森林”。休日には都会の喧騒を逃れ、自然の緑を求めて郊外に出かける方も多いと思います。何故、人は森を求めるのでしょう?
緑にあふれた森林のなかに入って行くと爽やかな空気が広がり、しばらく歩いているとかすかな香り(の様なもの)に気がつくと思います。これが、森林浴効果をもたらす森林の香りの正体で、『フィトンチッド』と呼ばれています。樹木は土に根ざして生きているので、これを発散することで自らの身を護るのがフィトンチッドの主な役割ですが、人間の身体をリフレッシュさせる力も持っています。森林浴の爽快感はどなたでもご存じだと思いますが、自律神経の安定に効果的と言われ、肝機能を改善したり快適な睡眠をもたらすことも知られています。その他、抗菌、防虫、消臭などのさまざまな働きがあり、フィトンチッドを上手に利用することによって、コンクリートジャングルに覆われた私たちの生活を、健康的で豊かなものにしてくれる事でしょう。
この様に、森林はストレスの解消・健康・精神面の安静などによって日々の疲れを癒し、心身共にリフレッシュしてくれています。森林はわたしたち人間にとって、多岐に渡った様々な効果を生みだしてくれているのです。
基本的に人間は“生き物”であるので、機械的な都市空間より自然の方が心が安まるのは、理屈なしに当たり前の事なんでしょうかね。是非、皆さんの生活の中にも“心の余裕”を作ってみて下さい!!
『フィトンチッド』や『森林浴の効用』をもっと詳しく知りたい方は、下記のHPをご参照下さい。
・フィトンチッド普及センター(http://www.iijnet.or.jp/phyton/)
・森の贈り物(http://www.wnn.or.jp/wnn-f/)の「森林浴の効用」
(6).「森は動物・植物の宝箱!!」
今まで人類は、自然環境を破壊し続け、宅地や耕地などに造成してきました。その結果、元々森林環境を“すみか”としていた野生植物・動物は追いやられてしまい、住むところすらなくなってきています。つまり、今まで均衡を保っていた地球環境は、人類の発達によって、“人類のもの”へと偏り、生態系は崩れつつあるのです。
そんな中、森林空間というのはいわば生態系の物質循環の代表例で、森林は生物多様性や野生植物・鳥獣類の保全に役立っています。つまり、森林空間は多種多様な野生植物・動物との“出会いの場”である、と言っても過言ではないのかも知れません。もちろん、その環境を保全するためにも“森林”は護らなくてはならない存在なのでしょう。
さて、これらを踏まえて…
(9).現在の日本の森林が抱える問題とは?
この様に様々な機能を有している森林も、日本ではあくまで“木材生産の場”としか評価されていません。あくまで“木材”というのは森林の機能の一部にしか過ぎないのですが、木材しか市場原理では評価されていません。
さて、ここで皆さん考えてみて下さい。本当に森林は、“木材生産の場”としてだけの評価にとどまって良いのでしょうか?
もちろん一般に、環境財は市場原理に組み込まれにくい実情はあります。しかし、米が輸入自由化にされて農家がダメージを受けているのと同様に、1960年頃から木材は外材輸入が促進され、国産材価格が低迷してしまっているのです。
そんな現状では、林業家だけに森林の公益的機能を十分に発揮させ、国土環境の維持・保全を担わせていくのは、非常に困難なのは明らかだと思います。林業家は今まで、木材生産をする一方で、国土保全などの様々な役割を果たしてきたにも関わらず、それは一切評価されてきませんでした。経済的に評価されない以上、林業家も生計を立てていかなければならないので、森を手入れするだけの余裕が無くなってしまいます。
つまり、今後もその森林の効用が国民的に理解・評価されないようでは、今後日本の森林荒廃は防ぐことが出来ないことと思います。我々が今後も末永く都市部で安心して生活していくためには、森林の多様な機能を抜きには考えられません。
自然環境が相手だけに、森林が荒廃してからではもう遅いのです!!
是非皆さんも、今後の森林の在り方、考えてみませんか? 
次回は、オリエンテーリングの競技場である森林を整備している「林業」について、ちょっと詳しく解説していきたいと思います。今年のインカレが行われる“日光”や国際大会が開かれる“富士山麓”に代表される“スーパーA”の林がどの様に創られ、どの様に手入れされているのか、を解説できればと思います。オリエンテーリングをする上で、いつもお世話になっている森林への恩返しの意味でも、少しでも“森林”に優しいオリエンティアに、是非皆さんもなって下さい。
それではまた次回!!
【森林関連HP案内】
・緑のリンク集(http://www.iijnet.or.jp/green/abs4.html)
・森林づくりボランティア活動情報一覧
       (http://www.iijnet.or.jp/green/volunteer/index.html)
参考資料
 
森林の公益的機能の評価額(平成3年度)