【開催日】1996年10月12日(土)-13日(日)
1.レース紹介
五日市駅近くからスタートし、奥多摩の山々の尾根を一番奥で三頭山までグルッと回ってくる71.5kmのコースを制限時間24時間でまわるレースです。このレースも今年で4回目、参加者も増え1300人近くなりました。良くいえばチャレンジ精神旺盛言い換えればものずき人達です、自分も含めて。五日市は春の自然人レースとあわせて面白いレースをやってくれます。
さて、レースです。毎回スタート時間が変わっていますが、今年は土曜日の15時でした。参加者の服装、装備はいろいろあります。といって仮装というわけではないですが。
もともとこのレースは長谷川恒夫カップという名前からわかるように(といっても知らない人はわからないですが、有名な登山家です)東京都山岳連盟がヒマラヤなどでの山頂アタックの模擬トレーニングを考えてはじめたものです。
というわけで完全重装備の登山靴も履いた山屋さんと、軽装のランナーが一緒に参加してきました。しかし、さすがにレースとなると圧倒的にランナーが速く、参加者もランナーのほうがずっと多くなってきました。そうは言っても、9時間を切ってゴールするトップと24時間かける人とでは装備が違います。軽装がふえたとは言ってもかなりの重装備の人はたくさんいます。昨年からストックを持つ人が増え、ことしは相当の人が2本ストックでした。もうひとつ、これも去年から増えていると思いますが、商品名でキャメルバックというのを背中にしょってチューブをデイパックの肩のところに固定しておき、いつでも水を飲めるようにしておく人が増えました。スタート時には水を2リットル持っていくのがルールになっているのです。
スタートは普通のロードレースと比べると、落ち着いたものです。なにしろ24時間、最初に前にでてもどうという事はありません。1回目のようにすぐに山に入るのだと最初に前にでないと進めなくなるのでですが、最初ずっとロードがあると自然にスピードの差で縦に並んでしまうので、あせってもしようがありません。
レース全体としては、完走率は50%くらいだったようです。今年も昨年につづき雨となり、途中小止みになったりはするのですが、だいたい夜中ずっと降って厳しいレースでした。
トップは田中友道さん。昨年優勝の自衛隊の人に途中で逆転したそうで8時間30分代、まったく凄いとしかいいようがありません。このレースが続けばこの田中さんと、われらがオリエンティアの田中正人、そして名前は忘れましたが自衛隊のこの3人が毎年争うことになるでしょう。
今、このレースが続けばといったのには意味があります。なかなかボランティアが集まらないらしいのです。参加者も大変ですが、役員も大変です。何しろ、コースには全長にわたってテープがはってありますし、夜でもわかりやすいように小型の赤いランプも数百mおきに配置してあります。そして、要所要所には役員がはりついて通過のチェックをしたり、参加者に足元があぶないと警告したりします。距離は71.5km、時間は24時間で、山の中に夜いるのですから、本当に大変。頭のさがる思いです。これで殆ど手弁当に近いとの事。いくら山が好きでも、集まらないのは当然かもしれません。知り合いではFWELNSのTさんともう一方、そして多摩OLのATさんがやっていました。ご苦労様です。チャレンジしてみたい人は是非早めに参加しておくほうが良いと思います。
2.わたしのレース
さてさて、ここからはわたしのレース結果。
昨年は無念の電池切れでリタイアだったので、ことしはたっぷり電池を用意しました。ハロゲン電球が0.85Aに対して、単3のリチウム電池を8本。これで一晩をこなせます。また、キャメルバックは残量がわからないので使う気はなかったのですが、考えてみれば簡単な事で、別に水を用意すれば切れてもなんとかなると気付いて直前に購入しました。結果からいうと、とても飲みやすく正解でした。ロング-Oにも良いと思います。
他に用意したのは、新しい靴。NBのオフロード用の靴、ロードレースではとても使えないですがこのレースでは充分でした。オフロード用の靴、ことしは随分いろんなブランドからでていました。いよいよ、日本もロード以外のランニングが盛んになっていくのでしょうか?
食料は草餅みたいなの10個入りのパック。オンザゴー2個。キャンディー1パック。キャンディーは半分以上残しましたが、他はすべて計画どおりの分配で食べました。
道具はこれだけ用意したのに、当日の交通のほうはろくに調べず、危ないところでした。以前からの知り合いのYSさんと拝島からタクシーに乗り間に合いました。
[レース経過]
多摩OLのMTさん、去年は蛍光燈とストックの新装備でしたが、今年はストックを自作で強度の高いものを用意していました。知り合いと話などしているうちにスタート。無理せずに走ってもどんどん抜けました。
今熊神社 0:24:49
入山峠 0:35:20 1:00:09
ここから先は、なかなかきつく、むなつき八丁というようなところもあり、結構きつかったですが、明るいうちに殆ど幅のないトラバースルートを抜けたいと思って走りました。このあたりで結構、前後が離れだしました。
市道山分岐 0:50:13 1:50:22
分岐のあとはアップダウンも少なく、走りやすくなんとか電気をつける前に醍醐丸下に到達できました。
醍醐丸下 0:28:08 2:18:30
ここからちょっと出たところで早々と腿の筋肉がピクピク。だましだまし、走りました。たしか、このレッグで雨が降りだしました。ピクピクしてちょっと休んでいる間に千葉OLKのKOさんに抜かれた。
三国峠 1:03:25 3:21:55
三国峠は休まずに通過。しかし、なんであそこが峠なのだろうと思う。
浅間峠 0:43:37 4:05:32
ここでは暫く休んだ。はやばやと棄権している人がいる。人がたくさん居てなんだかほっとする。ここを越えると月夜見以前の場所では棄権しても道路までが遠い。雨がいやでちょっと棄権も考えたが、まだまだ元気。少し腹を満たしてスタート。ここでの順位は158か159かだった。そんなに上にいるとは思っていなかった。
笛吹峠 1:26:08 5:31:40
アップダウンは少ないが、結構みちが右下がりの傾斜で非常に滑りやすくスピードがでない。この途中で多摩OLのMTさんに抜かれる。声をだす元気がなかった。
西原峠 0:48:49 6:20:29
ここが一番きつかった。急坂では腿の膝上すぐの内側がつってしまい、雨の中なのに
立ち止まらざるを得なかった。なかなか回復せず、ちょっと落ち着いたから動こうと
するとすぐにまたつってしまう。きつかった。
三頭山避難小屋 1:24:52 7:45:21
去年は通過した小屋でしばらく休んだ。役員なのか登山者か寝袋で何人か寝ていた。レスキューシートをだして寝ようかとも思ったが冷えそうなのでやめた。ここから山頂までは足場も良くけっこう身体もよく動いた。
三頭山 0:31:23 8:16:44
半ばを越えていよいよ下り、足場が悪くて、けっこう手をつかいながら下りた。去年しばらく寝た小屋?も通過してくだった。峠から先が結構長かった。この下りは結構きつく、月夜見で棄権しようかと思っていた。一緒に動いていた人が去年は道路のでるところが凄いツルツルで恐かったですねと話し掛けてきてこちらも思い出して同意しながら走った。道路にでたところで、雨が止み再びゴールに向かう元気がでてきた。
月夜見山駐車場 1:09:37 9:26:21
ゴールに向かう元気がでてきた。エネルゲンをキャメルバックに補給して暫く休んでスタート。スタートする頃にはまたまた雨だったが、チャレンジする気持ちが戻ってきて走った。左手にずっと明りが見えていた。どこが見えていたのだろう。なんとか最後の登りらしい登りをこなした。
御前山 1:16:24 10:42:45
ほんのわずか座るくらいで通過。山頂下の小屋で休もうかと思ったが、ここはルートから少しはずれていて見えないので立ち寄るのはやめて通過した。下りがきつい。
大ダワ 0:59:22 11:42:07
ちょっと登ったあとはずっとゆったりした道。大岳は岩をよじのぼる感じだったがそんなにきつくなかった。この辺りでは腿も落ち着いてきていた。
大岳山 1:00:01 12:42:08
下りに入ってしばらくいった所で大失敗。大きな岩を乗り越えるために掛けられた鉄階段。この下りで足を滑らして、すねを打ってしまいました。後ろにいた人が平気ですか?と声をかけてくれました。そんなに痛めてはいないので、先にいってもらって暫く休みました。ガクッといったので心臓がどきどきしてしまい、落ち着くのに時間がかかりました。しかし、もうゴールは間違いなくできると思っていたので気持ちは落ち着いていました。
長尾平 0:55:43 13:37:51
日の出山につくといよいよ夜明け。空がだいぶ明るくなってきて、あの雨のレースが嘘のような良い天気になりそうと見えました。しばらく山頂で、そこにいた人と話したりして休みました。もうここまで来れば完走は確実!あと10km、くだりだから1時間で行けないかと思いましたが、ここから暫くは足元が良くなく、スピードがでない、足元が良くなっても今度はちょっとした登りが走れないなどで15時間を切るのはちょっとできませんでした。しかし、朝もやの中、だんだん明るくなり、だんだん日が差してきて木々が活き活きとしてきます。本当に夜のレースが夢のよう。やったあ!という気持ちで満足感を感じながらの走りでした。
ゴール 2:02:18 15:40:09
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15:40:09
なかなかきつい走りでしたが、終わってみれば雨だったがため、かえって1回目を上回るタイム。約2時間の更新でした。けれど、あの星空がみれなかったのは残念でした。星空が見えたら、何処かで寝転がってもっと時間がかかったかもしれません。
さあ、来年はどうするか?また、ゆっくり考えます。